2025年度全日本吹奏楽コンクールの課題曲が発表され、吹奏楽コンクールに向けて練習を頑張っているところだと思います!
コンクールへの練習をする中で、課題曲の解説を知りたいと思ったのではないでしょうか?
この記事では、課題曲Ⅰ~Ⅳに関してその背景や演奏について詳しく解説していきます!
Ⅰ. 祝い唄と踊り唄による幻想曲
まずは、課題曲Ⅰ『祝い唄と踊り唄による幻想曲』です!
「祝い唄」や「踊り唄」とは日本の民謡や伝統音楽の中で歌われる唄のことで、曲名からもわかると通り、『和』をテーマとした作品となります。
「梁塵秘抄」とか「クシナダ姫」とかと少し近い雰囲気もありますよね。
和風テイストの曲が好きな方も多いと思うので、演奏してみたい!と思った方も多いのではないでしょうか?
作曲者は杉山義隆さんで、この方は現在は公立小学校で校長を務めているようです。
ご存じない方もいるかもしれませんが、打楽器アンサンブル作品をいくつか作曲されているんですよね。
例えば、『打楽器4重奏 舞のある風景2014』は演奏する団体も見かけます。
今回の課題曲もそうですが、実は打楽器アンサンブルに関しても「和」をテーマにした作品が多いです!
打楽器アンサンブルで培った作曲も影響を受けていると考えられるので、『祝い唄と踊り唄による幻想曲』もパーカッションが1つのポイントと言えます。
実際、例えばTomTom、Timp.にはソロがあります!
場面転換に使われており、打楽器アンサンブルっぽさを感じるところですよね。
転換前と転換後ではっきりと楽曲が変化するので、この違いを抑揚等などでしっかりと違いを見せることが1つのポイントです。
パーカッションの方は杉山さんの打楽器アンサンブル作品を聴いてみるといいかもしれません。
また、課題曲には珍しくチューバソロがあるところもこの曲の特徴でしょう!
全体として、場面ごとに際立たせるパートが存在するので、音量バランスを見ながら演奏することを心掛けましょう!
Ⅱ.ステップ、スキップ、ノンストップ (順次進行のカプリッチョ)
続いては、課題曲Ⅱ『ステップ、スキップ、ノンストップ(順次進行のカプリッチョ)』です。
後藤洋さんによって作曲された曲で、数多くの吹奏楽作品を作曲されている有名な作曲家です。
編曲者としても知られており、『歌劇トゥーランドット』の編曲は非常に有名ではないでしょうか?
この曲の曲名を見てまず気になるのが、「順次進行のカプリッチョ」という部分ですよね。
まず、
「順次進行」とは、
音階の隣り合う音(2度音程)を使った進行
のことです。
例えばド → レ → ミ → ファ(全て隣接する音)はまさしく順次進行ですね。
続いて、
「カプリッチョ」とは、
(イタリア語で)「きまぐれ」や「自由奔放」という意味を持つ音楽用語で、形式にとらわれずに自由な表現を重視した楽曲
のことです。
型にはまらない自由な展開があったり、遊び心のある旋律を含んだりするような特徴があります。
なので、「順次進行のカプリッチョ」とは、
「滑らかで歌いやすい順次進行を基調としながらも、自由で気まぐれな要素を持つ楽曲」
とまとめることが出来ます!
それで、実際の楽曲としてはなんとなく「基礎練っぽさがある」感じがしますよね。
これがまさしく「順次進行」を用いています。
ただ、単なる基礎練ではなく楽曲、ましてや課題曲ということから「カプリッチョ」と言えるのではないでしょうか。
この曲は、実力(基礎力)がもろに反映される楽曲なので、ごまかしがききません。
日頃の基礎練習を大切に行うことが最もこの曲の効率よい練習になると思います。
それにより自由曲の質も高まると思うので、ある意味一石二鳥かもしれません!
ちなみに、後藤洋さんの作曲の曲で類似したタイトルの『ステップ・バイ・ステップ(順次進行によるコーラル)』という曲もあります。
ぜひ、聴いてみてくださいね!
Ⅲマーチ「メモリーズ・リフレイン」
続いては、課題曲Ⅲマーチ『メモリーズ・リフレイン』です。
作曲者は伊藤士恩さんという方で、2002年生まれなので比較的お若い作曲者さんですね。
いわゆる『課題曲らしいマーチ』といったところで、癖があまりなく比較的とっつきやすいマーチと言えるでしょう。
課題曲の中で最も演奏する団体が多くなるのではないのかなと予想されます。
特に、例年マーチ系の楽曲は2曲ありますが、今年はこの曲なので人気が集中しそうです。
人気が集中するということは、他の団体との違いを見せなければならないという点で、難しいと言えますね。
タイトルの「リフレイン」とは音楽用語の1つで、「繰り返し」を意味します。
「リフレイン」は、曲の構成を分かりやすくしたり、印象を強めるために使われ、
などの役割を持ちます。
実際に、この『マーチ「メモリーズ・リフレイン」』についても同じメロディが繰り返し登場しますよね。
また、一般的なマーチは、
「イントロ(導入部)→第1ストレイン(主部)→第2ストレイン→トリオ→(ドッグファイト)→トリオ再現」
のように構成されますが、この曲も同様にマーチらしい構成をしています。
代表的なマーチは「星条旗よ永遠なれ」のような曲があるので、
『マーチの構成がよくわからない』
という方はこちらを見てみるといいでしょう!
演奏のポイントの1つとしては、
音量の抑揚(ダイナミクス)をしっかりとつけるところ
です。
音量を落とすところはしっかりと落とすことで、曲の良さがグッと引き立ちます。
パーカッションとしては、S.D., B.D., Cym.がしっかりとお互いを見合って(聴き合って)演奏することが大事です。
また、S.D.に関してはマーチで全体を支えるので、管楽器の方も聴きながら演奏できるとよいですね!
Ⅳ. Rhapsody ~Eclipse
最後にご紹介するのは、課題曲Ⅳ『Rhapsody ~Eclipse』です。
こちらの曲は大島ミチルさんによって作曲された曲となります。
皆さんは、この方をご存じでしょうか?
実は、非常に著名な作曲家の方なんです。
映画やテレビ、ゲームやアニメなどなど、多種多様な音楽を手掛けているんですよね。
例えば、
・NHK大河ドラマ『天地人』
・ゴジラシリーズ
など様々です。
おそらくWikiを見た方が早いので、気になる方はこちらを参照してみてください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%B3%B6%E3%83%9F%E3%83%81%E3%83%AB
タイトルともなっている、Rhapsody(ラプソディ)とは、
形式にとらわれず、自由な展開をもつような楽曲
のことです。
同じ「Rhapsody」のタイトルをつけた、
『ラプソディ・イン・ブルー』は有名ですよね。
異なるメロディが次々と登場することが多いことも特徴の1つで、この曲も様々なメロディが登場していますよね。
この曲の長さは3分半であり、課題曲ⅡやⅢよりも長いです。しかし、
「あれ、思ったより楽曲が短い」
と感じたのではないでしょうか?
これは、楽曲の展開が次々と変わることにあります。
実は、このことは演奏が難しい楽曲とも言えます。
というのも、繰り返しがある楽曲の場合は、1回目と2回目で変化をつけることで表現の幅が上がりますが、こういう楽曲ではそういうことが出来ません。
特に打楽器が一気に入って場面転換があるということもないので、ある意味単調になりやすいんですよね。
なので、いかに音楽を表現していくかがポイントとなりますね。
例えば、金管主体のメロディと木管主体のメロディが入れ替わるセクションが曲中にあるので、そこで違いをはっきりと魅せることも大事になるでしょう!
最後に
いかがでしたか?
今回は2025年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲4曲についてご紹介しました。
それぞれの曲に違った良さがあって、今年の課題曲もいいラインナップという印象を受けました!
ぜひ、自分たちの団体に合った選曲をして、本番に向けて演奏を仕上げていきましょう!
・印象的なメロディを強調する
・楽曲の統一感を出す
・感情を高める