今さら聞けない、オクタン価とは?化学的な視点で解説!

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ガソリンエンジンの話題が上がるとき、「オクタン価」という単語をよく耳にしますよね。

しかし、「オクタン価って何?」と思っている方も多いのではないでしょうか?

そんなあなたも、これを見れば「オクタン」とは何か、何を表す数値なのか理解することが出来ます!

この記事では、「オクタン価」について化学的な視点から解説していきます!

そもそも「オクタン」って何?

皆さんは、「オクタン」という単語を聞いて何を連想されるでしょうか?

あのタコ型のポケモン?それとも、APEXに登場するキャラクター?

ここで、

「オクタンと言ったらあの化合物しかないでしょ」

と思った方は間違いなく化学をよく勉強されている方です。

それで、「オクタン価」の「オクタン」とは化合物の1つです。

オクタンというとなかなか馴染みが無い人も多いと思いますが、「メタンガス」や「プロパンガス」という単語なら、なんとなくどこかで聞いたことあるでしょう。

「オクタン(octane)」は、そんな「メタン(methane)」や「プロパン(propane)」の仲間です。実際、どれもこれも語尾に’ane’というのがついていますよね。

そのような同種の化合物を一覧にすると下図のようになります!

図 アルカンの一覧

上記のような、炭素(C)と水素(H)から成っており、かつ1本の結合で結ばれている化合物は「アルカン」と呼ばれています。

つまり、オクタンはこのアルカンの1種であり、かつ炭素の数が8個の化合物のことです。

ところで、炭素数7~10の接頭辞である

‘hept’、’oct’、’non’、’dec’

を並べて読んでみると、どこかで聞いたことがあるフレーズじゃないですか?

実は、7~10の接頭辞は、september(9月)、october(10月)、november(11月)、december(12月)と似ており、これらの接頭辞は(月の数)-2になっています。

つまり、オクタンという単語の接頭辞はoctoberと由来が同じです!

「オクタン価」って何?

「オクタン価」を理解するためには、ガソリンエンジンの仕組みについて知っておくことが不可欠です。

普段自動車に乗っている方でも、ガソリンエンジンの仕組みについてあまりよく知らないという方も多いのではないでしょうか?

その仕組みは、下図のように「①吸気、②圧縮、③爆発・膨張、④排気」の4つのプロセスから成っています。

https://rentacar.carlifestadium.com/blog/trivia/138/

「これで自動車博士!車の構造と仕組みを知ろう」 カースタレンタカー (2021年11月11日引用)

まず、空気と燃料であるガソリンから成る「混合気」をエンジン内部に取り入れます(①吸気)。

次に、その混合気をピストンで圧縮し、出力を上げます(②圧縮)

そして、圧縮した混合気に点火プラグを使って着火します(③爆発・膨張)

最後に、生じた排気ガスを外へと排出します(④排気)

これらの4つの過程を1サイクルとして、皆さんが乗っている自動車のエンジンが機能しています。

ここで、「②圧縮」の過程で混合気は圧縮されていますが、この過程で混合気の温度はどうなるでしょうか?

答えは、圧縮によって混合気の温度が上昇しています。

つまり、圧縮しまくって温度がめちゃくちゃ高くなると混合気が勝手に発火する(自己着火する)ということです。

このように、自己着火することは「ノッキング」と呼ばれ、オクタン価はそのノッキングのしにくさ(アンチノック性)を示す数値です。

ノッキングはしない方がよいので、オクタン価はある程度高い値の方が望ましいということになります。

では、その数値はどのように決まっているのでしょうか。それは、以下のイソオクタンヘプタンが基準にされています。

イソオクタンはオクタンと同じく炭素の数が8個ですが、こちらは分岐があります。

これを聞いて、

「オクタン価なのに、「イソオクタン」と「ヘプタン」が基準なの?」

と思った方もいるのではないでしょうか?私も同感です(笑)

まぁ、おそらくオクタンを基準に取るとどこか不具合が生じるのでしょう。

それで、このオクタン価の違いによって、「ハイオク」と「レギュラー」に分類されています。

JIS規格によると、

ハイオク…オクタン価が95以上

レギュラー…オクタン価が85以上

です。

これらを知っておけば、「ハイオク」という名前が「オクタン価が高い(high)」から来ていることが分かりますね!

補足

ちなみに、一般にイソオクタンのように分岐があるような化合物の方が、ヘプタンのような分岐のない直鎖型の化合物よりもオクタン価が高いです。

セタン価との違いは?

皆さんは「セタン価」というのを聞いたことはあるでしょうか?

こちらは先ほどのガソリンエンジンではなく、トラックなどの大型車のように燃料として軽油を使うディーゼルエンジンに対して適用される概念です。

ところで、ガソリンエンジンの仕組みとディーゼルエンジンの仕組みは似ていますが微妙に違いがあります。

先ほどご紹介したように、ガソリンエンジンでは混合気を圧縮し、それを点火して発火させていましたよね?

しかし、ディーゼルエンジンでは混合気ではなく空気を圧縮し、その高温の空気に軽油を噴霧して発火させます。

つまり、軽油を噴霧することで発火して欲しいので、自己着火しやすい方が良いということになります。

よって、

オクタン価…自己着火のしにくさを表す指標

セタン価…自己着火のしやすさを表す指標

というように、オクタン価とセタン価は全く逆の指標となっています。

ちなみに、セタンというのは、オクタンが炭素が8個つながった化合物だったのと比べて、こちらは炭素が16個つながった化合物です。

最後に

いかがでしたか?

今回は、オクタン価について化学的な視点からご紹介してきました。

オクタンという化合物はなかなか馴染み深いものではないと思いますが、一種の「常識」としてこの機会に頭に入れておくといいかもしれません!

ぜひ参考にしてみてくださいね!

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2件のコメント

図解の上の「①吸気、②圧縮、③爆発・膨張、④廃棄」→「・・・④排気」ですね?
同様に図下ブルーの解説記事で④排出も④排気に統一した方が良いのでは?
また、③爆発・膨張は③燃焼(膨張)と、中学校くらいで習ったような気がします。

イチャモンみたいですみませんが、せっかくの記事なので蛇足的に書き込ませていただきます。
当方、全くの素人で、オクタン価が?だったので読ませていただきました。

siroutooyaji 様

ご返信が遅くなり、大変申し訳ございません。
ご指摘いただき、誠にありがとうございます。該当箇所について修正いたしました。

また、爆発と燃焼に関しまして下記記事等を参考に、➂の過程は燃焼によって引き起こされる爆発であると考えられます。
燃焼=光や熱を発生させながら物質が酸素と化合する現象
爆発(特にガス爆発)=可燃性の気体に引火(=燃焼)して急速に膨張することで発生する現象
https://study-z.net/100192482

したがって、本記事では引用した図に倣って➂爆発・膨張で統一しておりますが、➂燃焼(膨張)と読み替えていただいても問題ないと考えられます。

今後とも本ブログを参考にしていただければ幸いです。

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