今さら聞けない、石炭とは?石油と何が違うの?

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石炭というと少し古めかしい印象を持つ人もいるかもしれませんが、石炭は現在でも発電をはじめとしてよく使われています。

ですので、石炭は石油と同様に我々の生活に欠かせない存在です。

では、そんな石炭と石油ってどこが違うか分かりますか?意外とよく知らないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、まず石炭とは何かについて説明し、石油との違いについて化学的な視点から解説していきます!

石炭って何?

「石炭は化石燃料」とよく言われますが、そもそも石炭は何かご存じですか?

簡単に言えば、石炭は植物が風化したものです!

具体的には、石炭は、死んだ植物が地下へと埋没し、長い年月をかけて地下の圧力や温度などの影響によって変化したものです。

ところで、石炭とごっちゃになりやすいものに「木炭」がありますよね。

石炭や木炭を実際に見たことない人だと、その違いをすぐに言えないという人も多いのではないでしょうか?

木炭というのは、木を高温で蒸し焼きにしたものです。

つまり、木炭は人工物であり、石炭は天然物であると言えます。

この木炭と石炭の違いは、ぜひ頭に入れておきましょう!

石炭の成分って何?

石炭には種類がある

石炭は主に炭素(C)から成っていますが、実は産地によって成分がかなり異なります。

実際、「石炭化度(=炭素の含有率)」を基にして石炭にはいくつか種類があり、目安として石炭化度の順に、

褐炭≦亜瀝青炭≦瀝青炭≦無煙炭

というようになっています。これよりもさらに細かく分類することも可能です。

ここで、「褐炭」という名前からも分かるようにこの石炭の色は褐色です。

石炭=黒色という固定観念を抱いている方も意外と多いと思いますが、あくまで石炭化度の高い石炭が黒いということです。

世間一般に黒色のイメージが強い理由は、おそらく褐炭といった石炭化度の低い石炭は「低品位炭」と呼ばれて工業的にあまり利用されないからでしょう。

石炭と言えば「コークス」が有名ですが、あれは石炭を処理して炭素含有量をさらに高めたもので、だからこそ真っ黒な色をしています。

このように、黒い石炭の方が工業的に有用で、より我々の生活に普及しているので、石炭が黒いイメージなんじゃないかなぁと思います。

石炭は天然高分子である

ここは少し化学っぽい話になので、少し理解しにくいところがあるかもしれません…(笑)

実は、これはあまり知らない人も多いと思いますが石炭は天然高分子の1種なんです!

高分子とは分子量が大きい分子のことで、ここでは要は炭素(C)がめちゃくちゃ連結していると考えてもらえれば結構です。

構造式を描くと、例えばこんな感じ。

これは一部分で、実際はもっとたくさんつながっている巨大な分子です。

実際、石炭は最大で分子量が約500,000もの分子を含み、例えば有名なプロパンガスの分子量が約44であることと比較するとかなり大きいことが分かりますよね。

ちなみに、石炭化度が大きくなればなるほど下記のような「芳香環」の数が増えてきます。

なぜ石炭がこのような構造をしているからというと、最初に述べたように石炭のもとは植物だからです。

植物は「リグニン」と「セルロース」と呼ばれる、上記のような環を含む高分子などから出来ています。

石炭はそのような植物がもとになっているので、植物に含まれているそのような構造がそのまま石炭にも影響しているというわけです。

石炭と石油の違いは?

①固体と液体

上のタイトルを見てそんなの当然じゃんと思った方も多いと思います。

しかし、この違いって工業的に見ると結構重大な違いだったりするんですよ。

輸送なんかの際には、固体だとかさばるので液体の方が圧倒的に便利です。

特に日本はこのような化石燃料を輸入に頼っているので、より多量に輸入できる液体であることの恩恵が大きいと言えます。

また、車の燃料などももちろん液体です。これが固体の燃料だと…ちょっと厳しいですよね。

したがって、工業的には液体である石油の方がより使いやすいという面があります。

そういう事情もあって、石炭はその一部を液体に変換されて使われていますよ!

②成分の内容

石炭と石油ではそれらの成分は結構異なります。

石炭の成分は先ほどご紹介したように芳香族が結構含まれているので、二重結合などを多く含みます。

石油の成分について、詳しくはこちらの記事を見て欲しいのですが、簡単に言うと石油は単結合で構成されている成分が多いです。

具体例を挙げるとこんな感じ。

では、この成分の違いが何を生み出すかというと、単位重量当たりの発熱量の違いを生み出します。

比較すると、石油の方が石炭よりも発熱量が大きいです。

つまり、同じ重量の石油と石炭を燃やしたとき、石油の方がより大きな電力を生み出すことが出来ると言えます。

③不純物の量

石炭と石油では、石炭にはかなりの不純物が含まれています。

石炭は鉱物ということで、粘土やそれ以外の鉱物がいろいろと混じっています。また、水分も結構含まれているんですよね。

一方で、石油は炭化水素(炭素及び水素)で95 %以上を占めており、炭素や水素以外の成分は4 %以下となっています。

何かしらの製品を作る際は、不純物が出来る限り含まれていない方が良いです。

したがって、石油から製品をつくった方がより高品質な製品になり、石油は石炭よりも製品の原料として向いていると言えます。

④埋蔵量

①~③は石油の方が石炭よりも優れている面でした。

しかし、埋蔵量の比較では石炭の方が石油よりも多く、石炭が優位に立ちます!

実際、以下のサイトには石炭の可採年数が134年、石油の可採年数が50年と記載されています。

https://www.hepco.co.jp/energyisland/school/world.html

ちなみに、可採年数は以下の式で算出されます。

(可採年数)=(確認埋蔵量)/(年間生産量)

ここで重要なのが、「確認埋蔵量」であるということです。

つまり、あくまで「その時点での産出出来る量」で可採年数が算出されるので、将来新しく採掘できそうな場所が見つかればその分可採年数は伸びることになります。

要は現時点で石油の可採年数が50年だとしても、2070年ごろに石油がなくなるということではないということに注意してください!

まぁ、正直言うと、この「可採年数」ってかなり紛らわしい指標ですよね(笑)

とりあえず、石炭の方がより長く使えるということで、現在石油の代わりに石炭を使おうという動きもあります。

石油は①~③で上げたように便利な面が多いですが、埋蔵量を考えると今後石炭がさらに積極的に使われることもありそうですね!

最後に

いかがでしたか?

今回は、石炭について、またその石炭と石油との違いについてご紹介してきました。

解説してきたように、石炭と石油は名称は似ていますが本質的にはかなり違うものです。

この機会に、石油と石炭の違いを頭に入れておきましょう!

ぜひ、参考にしてみてくださいね!

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