たったこれだけでS評価!有機化学実験レポートの考察の書き方!

化学系の学科に所属していると、学生実験のレポートを毎週のように書かなくてはいけませんよね。筆者自身も化学科出身なので、めっちゃ苦労しました…。

特に、考察の部分はなんて書けばいいんだろうと悩みますよね。ただ、この考察がレポートの評価のカギになるというのは周知の事実。

そんなレポートの考察の書き方に悩んでいるあなたに、特にこの記事では「有機合成実験のレポートの考察の書き方」についてお教えします!

レポートでSが欲しいという方は必見です!

実験は失敗してもOK!?

まず、実験科目で良い成績をとるためには実験が成功してないといけないのでしょうか?

結論から言いますと、実験の出来、不出来なんてレポート評価に全く関係ありません!

たとえ、収率が数%とかめちゃくちゃ低収率になったり、ガラス細工でゴミみたいなキャピラリーを作ったりしても問題ありません。(体験談)

…まぁ、学生実験も上手くいった方が良いはずなんですけどね(笑)

なので、学生実験が上手く出来なかったという方もレポートで点を稼げるので安心してください。

以下で示していきますが、考察を書くという観点では実験結果がどうであろうと問題ないんです。

まずは、参考文献を探せ!!

さて、実験レポートを書くにあたって、まず何から手を付けていけばいいでしょうか?

それは、参考文献探しです!

正直、これが実験レポートの出来のほとんどを左右すると言っても過言ではないでしょう。

もしかすると、

「とりあえず実験結果をまとめてから、参考文献を探しに行くべきじゃないの?」

と思うかもしれません。ですが、結果をまとめる前でもどの参考文献が使えそうかをある程度見極めることが出来ます。

また、

「実験が終わってすぐ図書館行くのはだるい」

と思うかもしれませんが(自分は思っていましたが)、実験直後に図書館へ行った方がいいです。

というのも、同じ学科の学生は同じ内容のレポートを提出することになるので、実験関連の文献を誰が借りるかは早いもの勝ちになるからです。

ということで、実験が終わったら迷わず図書館へ直行!

さて、実際に図書館に行ってどのような文献を借りると良いのでしょうか?

そこで、以下に有機合成系実験のレポートを書く際にあると便利な参考書を箇条書きにしてみました!

・有機化学の教科書(マクマリー、ボルハルト・ショアー、ウォーレン、ブルース…など)

・実験でやった反応が載っていそうな文献(官能基(カルボニル、アルケン…)反応をまとめた本、人名反応反応の本、金属化学関連の本など)

・(IRなどの機器分析をやったならば)機器分析の情報をまとめた文献

・クロマトグラフィー、蒸留など、その実験で利用した実験方法についての情報が記載されている文献

化学科の学生ならば、おそらく授業で使っている有機の教科書を持っているので、別に教科書を改めて借りる必要はなさそうですよね。

しかし、こっちの教科書は立体配座について詳しく書いている…というように、教科書によって書き方が割と違って、こういうのが考察のネタになることも結構あります。

また、参考文献の中でも個人的にぜひともおすすめしたいのが、丸善株式会社から出版されている「実験化学講座シリーズ」です。

化学実験書のスタンダード 『第5版 実験化学講座 全31巻』 – 丸善出版 理工・医学・人文社会科学の専門書出版社 (maruzen-publishing.co.jp)

おそらく、これらの本は皆さんの大学の図書館にあると思いますが、それほど使ったことはないという人も多いのではないでしょうか?しかし、これがマジでめちゃくちゃ使えます!

実験操作について詳しく解説されていたり、合成反応について非常に多くの具体例が紹介されていたり…など、とにかく考察に使えそうなネタが盛りだくさんです。

自分は、実験操作について記載されている「基礎編」と、使った反応が載っている冊子をよく借りていました(第5版に限らず)。

最初にも言いましたが、ここでどれだけ使えそうな文献を借りることが出来るかが今後のレポートの出来のカギになります!

補足

その他の文献でいうと、大学受験でお世話になった人も多いだろう「化学の新研究」と、「J-STAGE(インターネットで無料で見れる電子ジャーナル)も非常に役立ちます。

ぜひ、この2つは積極的に活用してみてください!

合成系実験のポイントは収率!!

文献を手に入れたら、いよいよ考察を書いていきます。有機合成系レポートの考察のポイントは、ずばり収率です!

合成系の実験をしたときは、必ず収率を出しますよね。収率がどのような値になったかは、計算過程を含めてレポートの「結果」の部分に書いていると思います。

そして、その算出された収率に対して、

収率が低いとき…不純物(未反応物質含む)の発生(実験過程で除去)、実験操作の問題など

収率が(異常に)高いとき…副生成物の発生、溶媒の除去が不十分など

を考察として書くことが出来ます。

収率が異常に高いときというのは、値が100 %以上になったというときです。

また、理想通りといったときもせいぜい70~80 %という感じになると思うので、そういう時も「収率をさらに良くするために」という観点から、「収率が低いとき」と同様に書けます。

ということで、最初に述べたように実験が成功してようが、そうでなかろうが実験レポートを書くという点では全く問題ないんですね。

以下では、「収率が低いとき(改善可能なとき)」「収率が異常に高いとき」の2つに分けて、例を出しながらか説明していきます。

収率が低いとき(改善可能なとき)

収率が低いとき、考察で書くべきは「どうすれば収率を上げることが出来る(出来た)のか?」です!

ここで、自分が実際に行った「ε-カプロラクタムの合成」の実験の例を用いてご説明していきます。

この実験は「シクロヘキサノン→シクロヘキサノンオキシム→ε-カプロラクタム」という合成実験だったのですが、最終的な収率は17 %でした。

また、オキシムへの変換の過程はそこまで収率は低くなかったのですが、「シクロヘキサノンオキシム→ε-カプロラクタム」のBeckman転位(という転位反応)の過程での収率が低かったです。

このような実験結果から、

・もっと収率を上げることが出来るようなBeckman転位の仕方があるのでは?

・抽出操作の際に収率が下がったのでは(水層に残留していたのでは)?

・Beckman転位を使わないで、ε-カプロラクタムを得る方法が無いのだろうか?

という疑問を持つことが出来ます。

そこで、文献を用いて「Beckman転位について」、「抽出操作について」、「ε-カプロラクタムへの変換方法」などについて調べていきます。

すると、

・実験で用いた触媒(硫酸)でなくても、この反応が進行する。

・塩析や、残液に反応物を加えることによって収率を上げることが出来る。

・Schmidt反応

という情報を得ることが出来ました。

よって、これらの情報をもとにして、この実験レポートの考察には、収率の改善方法として、

・触媒を変えれば良いのではないか?

・塩析や、残液へ反応物を加えるのはどうか?

・Schmidt反応を利用するのはどうか?

という3つの提案が出来るので、これらに対して適宜情報を追加しながら、文章にまとめていきます。

これは一例ですが、他の反応でも同様に考えれば考察を書くことが出来るはずです!

収率が異常に高いとき

今度は収率が異常に高いときについて、考察で書くべきことは「最終生成物にどのような不純物が含まれているのか?」です。

次は、「Friedel-Craftsアシル化反応」を例にどう書いていけばよいのかご紹介していきます。

この反応では、「トルエン+塩化アセチル→4′-メチルアセトフェノン」という比較的容易な反応を行いましたが、この時の収率は100 %でした。

最終生成物が無色透明な液体であったということや機器分析の結果も加味して、この実験の収率が異常に高い理由として、

・最終生成物に水が含まれているのではないか?

・最終生成物に未反応物質が含まれているのではないか?

と推測することが出来ます。

そこで、文献を用いて「乾燥剤について」や、「Fridel-Craftsアシル化反応」についてなどを調べてみます。

すると、乾燥剤について「少量の乾燥剤を加えて乾燥してそれをろ過などで除去し、新たに乾燥剤を加えると水分を効率よく除去できる」という情報が記載されていました。

このような文献の調査なども踏まえて、

・より強力な乾燥剤や、上記のような方法で水分を除去すると良いのではないか?

・(機器分析の結果の解析を踏まえて)反応物のトルエンが残っていると考えられるので、攪拌が不十分だったのではないか?

という考えに至ることが出来、これに適宜情報を加えて文章にしていきます。

収率の値が異常に高いときは生成物に余分な物質が確実に含まれているので、このように何が含まれているのか推測しながら、考察を書いてみてください!

最後に

いかがでしたか?

今回は、有機合成実験レポートにおける考察の書き方について解説してきました。

実験のレポートって本当に大変ですよね。特に化学科の学生は尚更です。

しかし、学部生のうちにレポートを沢山こなしていけば、レポートの書き方や考察を考える過程で思考力を身につけることが出来、必ずそれは今後に役立つはずです!

ぜひ、上記のポイントを参考にしながらレポート作成を頑張ってください!

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