数ある吹奏楽曲の中でも名曲である「アルプスの詩」。この曲について詳しく知りたいと思っていませんか?
そんなあなたも、これを見ればこの曲の構成や背景などについて知ることが出来ます!
この記事では、吹奏楽曲である「アルプスの詩」について解説しながらご紹介していきます。
アルプスの詩ってどんな曲?
「アルプスの詩(POEMA ALPESTRE)」(読みは’アルプスのうた’)は、スイスの作曲家であるフランコ・チェザリーニ氏によって作曲された曲です。
R.シュトラウスが作曲した「アルプス交響曲」に触発され、彼の没後50周年を記念して作曲されました。
そういう事情からも、この2曲にはWind Machine(風の擬音を出す楽器)の使用やTimp.が2セット必要などの共通点があります!
この「アルプスの詩」は以下の7つの楽章から構成されています。
Ⅰ~Ⅶまであるって吹奏楽曲の中だとなかなかの大曲ですよね。曲を全部演奏すると20分以上要し、すべて演奏するには相当の気力が必要です。
また、グレードは6なので、技術力が要求される曲でもあります。
この曲の楽譜はブレーン株式会社で販売されています。
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吹奏楽コンクールでの人気曲?
この曲は、2000年代前半辺りに非常に多くの学校で演奏されており、精華女子高校、埼玉栄高校、福岡工業大学附属城東高校などの強豪校が全国大会で次々に演奏したため人気曲となりました!
人気絶頂の時と比較すると、現在は演奏される機会が減ったもののいまだに人気の高い曲の1つです。
以下の動画は、2005年度の吹奏楽コンクール全国大会で金賞を受賞した城東高校による演奏です。非常に上手なので、演奏の参考になりますよ!
上記の音源からわかるように吹奏楽コンクールではもちろんカットされて演奏されますが、基本的にⅤ~Ⅶを演奏している団体が多い印象です。
ⅤとⅥは情景が描きやすく、Ⅶは表現をアピール出来る部分ですから、ここが好まれて演奏されているのでしょう。
このように、この曲で全国金賞を受賞している学校が沢山あるので、技術力と表現力を高めればコンクールで良い成績を残すことが出来ますよ!
編成楽器が変わっている?
この曲には鳥の鳴き声や風の音が登場します。また、最後のTimp.ソロは2セット使用して演奏することになっています。
Timp.は、1セットでこの曲を演奏しているところも多いですから、この曲の演奏で過度に心配する必要はありません(2セットあるに越したことはないのですが…)。
おそらく、演奏する上で気になる(問題となる)のが鳥の鳴き声の擬音を出す楽器とWind Machineでしょう。
鳥の鳴き声を出す楽器として、バードコールを使うのが一般的です。例えば、こちらの動画では様々な鳥の鳴き声を出す楽器がご紹介されています。
ただ、バードコールはものによってはあまり大きい音が出ず、コンクールには不向きということもあります。その場合、水笛という選択もありますね(ビジュアル的には前者が断然良いですが…)。
Wind Machineについては、この楽器の構造自体は割と単純ですが、自分で作成するのは正直現実的ではありません。したがって、Wind Machineがない場合はどこかから借りるのが最善策です。
なんか知らんけどWind Machine持っているわっていうところも案外あるので、ぜひ周囲の楽団や部活に聞いてみてください!
また、打楽器ではありませんが、この曲においてHarpが非常に重要となってきます。ぜひともHarpがあると良いですね!
ただ、Harpがない場合は、Harpが重要となる部分をカットするというのもコンクール上では1つの手段かもしれません。
各楽章の解説
Ⅰ)霧[NEBBIA]
Iの霧は上記の動画で~2:00辺りまでの部分です。
山って霧が発生しやすいんですよね。そんな霧がかかったような重苦しい雰囲気に、Harpの音色が絶妙なアクセントとなっています。
個々の途中で登場するOboeのソロは、この後も何度も登場してきます。「アルプスの詩」を代表するメロディーの1つでしょう!
Ⅱ)哀愁(寂寥)[DELLA MALINCONIA]
Ⅱ哀愁(寂寥)は、上記の動画でおよそ2:01~3:35までの部分です。
各楽章の中で最も短いです。金管主体のメロディーから始まり、途中からは木管主体のメロディーへと切り替わります。
しかし、全体的にどこか悲し気で哀愁漂わせる楽章です。
Ⅲ)思いがけない光[LUCE IMPROVVISA]
Ⅲ思いがけない光は、上記の動画でおよそ3:35~5:12までの部分です。
Cym.が入ってきて、曲が始まって最初の盛り上がりのポイントになります。そして頂点がきた後は、明るい雰囲気への場面転換が起こります。
ここまで比較的暗い雰囲気で進行してきた曲が明るくなり、これがまさに光という感じでしょう!
Ⅳ)精神的活動(心の動き)[OPERATIONES SPIRITUALES]
Ⅳ精神的活動(心の動き)は、上記の動画でおよそ5:13~9:45の部分です。
この楽章ではあるメロディーで始まり、似たようなメロディーで次の楽章へと進みます。コンクールだとこのメロディーからスタートすることも多いです。
また、この後のⅦ神の国と似たメロディーが登場するところも面白いところですね。
Ⅴ)高原の牧場[ALPEGGIO]
Ⅴ高原の牧場は、上記の動画でおよそ9:46~12:29までの部分です。
ここは何といってもHr.ソロですよね!やまびこのような掛け合いがポイントで、奏者2人が離れた位置で演奏するというのが主流の気がします。
また、11:46辺りの場面転換もポイントです。山の天候は変化しやすく、嵐の前兆を感じさせてくれますね!
Ⅵ)嵐 [TORMENTA]
Ⅵ嵐は、上記の動画でおよそ12:30~16:38の部分です。
ff(もしくはfff)に上がる音量と迫力にとても引き込まれます!Wind Machineの風の音が表す世界観が良く、打楽器的には一番楽しいところかもしれません(笑)
また、嵐の頂点が過ぎ去るとまた最初(Ⅰ霧)のメロディーが戻ってきます。激しい雷雨から霧への情景の移り変わりを表しているのでしょうか?
Ⅶ)神の国[DELLO STATO DIVINO]
Ⅶ神の国は、上記の動画でおよそ16:39~の部分です。
この曲の中で、最も美しいハーモニーが奏でられる楽章と言えるでしょう!コンクールという観点では、表現力が問われてくる部分とも言えるでしょう。
そして、何といっても締めのTimp.ですよね。割と長めのソロです。Timp.を演奏する人はカッコよく決めていきましょう!
最後に
いかがでしたか?
今回は、フランコ・チェザリーニ氏が作曲した傑作「アルプスの詩」についてご紹介してきました!
吹奏楽コンクールや演奏会などで、聴衆うけが良いこの曲をぜひとも演奏してみてください!
また、こちらの記事では同じくグレード6の難曲で、吹奏楽コンクールで人気が高いP.スパーク氏作曲の「宇宙の音楽」について解説しています。
ぜひ参考にしてみてくださいね!
Ⅰ)霧[NEBBIA]
Ⅱ)哀愁(寂寥)[DELLA MALINCONIA]
Ⅲ)思いがけない光[LUCE IMPROVVISA]
Ⅳ)精神的活動(心の動き)[OPERATIONES SPIRITUALES]
Ⅴ)高原の牧場[ALPEGGIO]
Ⅵ)嵐 [TORMENTA]
Ⅶ)神の国[DELLO STATO DIVINO]