次々と新しい課題曲が登場しているので、すでに課題曲の数は沢山ありますよね!
あなたは、
と感じていませんか?
この記事では2018年の吹奏楽コンクール課題曲について、曲の特徴などを解説しながらご紹介します!
Ⅰ 古き森の戦記
「古き森の戦記」は、塩見康史氏によって作曲された曲です。
名前から連想されるように、戦で戦う者たちの勇ましい雰囲気を感じ取れる曲になっています!
作曲者である塩見氏によると、この曲は交響詩のようなイメージで作曲したということです。
交響詩とは、ある標題(タイトル)を付けて文学的、絵画的内容を表した音楽で、管弦楽によって演奏されます。つまり、交響詩にはある内容を物語仕立てで表現された作品が多いです。
この曲は、古代の森の戦争を物語形式にして表現しています!
前半に2つの主題が現れますが、これは敵対する2つの勢力を表し、テンポが上がった後半におけるこれらの主題の入り乱れは、戦乱を表しています。そして、最終的には戦が終了して曲は幕を閉じるという構成になっています。
この曲にはこのような物語が表現されていることを記憶して曲を聴くと、一層この曲の面白さを感じることが出来るでしょう!
また、交響詩をイメージして作曲されているからか、打楽器はティンパニがメインのように聴こえます。また、戦を表しているという作品ですが、意外なことに打楽器がガツガツ来るという感じの曲ではありません。
そのため、全体でダイナミクスをいかに表現していくかが重要になってくることでしょう!
Ⅱ マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ
「マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ」は一ノ瀬季生氏によって作曲された曲です。
‘wonderful voyage‘は、日本語訳で「素晴らしい旅」です。海をテーマにした曲ということですので、「船旅」といった方が適切かもしれません。
非常に元気な明るい雰囲気で、課題曲のマーチらしい曲です!
作曲者の一ノ瀬氏は、普段物語をベースにして作曲することが多いようで、この曲も何か物語のシーンを想像して演奏して欲しいということです。
例えば、曲を聴くと分かりますが、始めに登場するメロディーがTrioに到達するまでに合わせて3回登場しますね。
個人的には、船旅をしている中でだんだんと目的地に近づいていく、そんな様子を想像することもできます!
また、彼は音のフレーズ(音符を長めor短めに演奏など)に変化がつけられるようにこの曲を書いたようです。
よって、演奏会などで演奏する際には、ありきたりなマーチにならないように工夫しながら曲を仕上げていきたいところですね。
パーカッションについて、鍵盤打楽器はグロッケンよりもシロフォンが目立ち、かつシロフォンの音が全体としても前面に出ています!これはマーチとすると比較的珍しいのかなと思います。
また、シロフォンは曲全体としてトレモロをする機会が多いです。トレモロをグロッケンで演奏することは多くなく、したがって、マーチでトレモロが多用されるというのはこの曲の1つの特徴といえるでしょう。
Ⅲ 吹奏楽のための「ワルツ」
『吹奏楽のための「ワルツ」』は、高昌帥氏によって作曲された曲です。
「ワルツ」というのは3拍子の舞曲、つまり社交ダンスなどで使われてきた曲です。
名前は聞いたことがあるけど、ワルツの曲ってあまり演奏したことないなぁと感じる人もいるのではないでしょうか?
実際に、作曲者である高昌帥氏も、吹奏楽ではマイナーであるワルツに触れて欲しいという思いでこの曲を作曲されたそうです!
この曲は、落ち着いたきれいな曲です。なんとなく聴いていると癒されるそんな美しい曲ですね。
高昌帥氏は、奏者がこの曲を自由で個性的な演奏に仕上げることを望んでいます。
したがって、音楽表現を存分に出せる曲とも言えます。表記されたテンポに縛られない自由な演奏によって、あなたの楽団だけの「ワルツ」を作り出すことが出来るでしょう。
皆さんの中には、ワルツを演奏する機会が少ないためにワルツに対して苦手意識を持っている人もいると思います。
この曲は課題曲であるため、難易度はある程度で抑えられているので、演奏することはワルツを練習するいい機会になるのではないでしょうか?
また、聴き心地が良い曲なので演奏を聴く人たちが好む曲可能性も高いです。演奏会の選曲候補にしてみてはいかがでしょうか?
Ⅳ コンサート・マーチ「虹色の未来へ」
『コンサート・マーチ「虹色の未来へ」』は、郷間幹男氏によって作曲された曲です。
この曲は、「虹色の未来へ」というタイトルからも予想されるように明るいマーチで、素敵な曲です。
「コンサート・マーチ」とは、コンサートバンドや金管バンドのために特別に書かれたマーチで、有名なコンサートマーチにはJ・ヴァンデルロースト作曲の「アルセナール」があります。
そう言われるとアルセナールと似た雰囲気があったりするなぁ…なんて感じたりしますか?(2021年の課題曲Ⅳ「エール・マーチ」と同じような話になっているんですが…(笑))
念のため、以下にアルセナールの音源を貼っておきます。
作曲者である郷間氏は、各奏者が自分の人生の軌跡を振り返り、「虹色の未来」へと歩むストーリーを曲に込めたということです。すごくオシャレですよね!
そのような思いが相まって、奏者は演奏を楽しむことが出来、演奏を聴く人たちを明るくしてくれるような曲といえるでしょう!
親しみやすいマーチですので、演奏会のオープニングなんかに演奏するのも良いと思いますよ!
Ⅴ エレウシスの祭儀
「エレウシスの祭儀」は、咲間貴裕氏によって作曲された曲です。
まず、「エレウシス」とは、古代ギリシアの小都市のことです。この都市はデーメーテールという女神の祭儀の中心地として知られています。
この曲のテーマは、女神デーメーテールの娘ペルセポネーの略奪と帰還が基になっています。具体的には、曲前半がペルセポネーの捜索を、曲後半が祭儀の様子を描写しています。
一度聴けばここで後半に切り替わったなとわかると思います!
このような題材であることからも分かるように、音同士がぶつかる不協和音が出てきます。しかし、それほど聴きにくい課題曲Ⅴではありません。むしろ聴きやすい課題曲Ⅴともいえるでしょう。
曲前半の特徴は、打楽器が何度も独立して音を奏でることでしょう。よって、いずれのパートもソロを担当することになります。
曲後半は独特なリズムで展開されるので面白く、私的には好みですね。
曲を通して打楽器は非常に重要かつ目立つので、パーカッションパートからしたら楽しめる曲になるかもしれません!
課題曲Ⅴは非常に独特で、好き嫌いが分かれる曲なので演奏会に不向きな曲も多いでしょう。しかし、その中でも「エレウシスの祭儀」は、演奏会で演奏するのもありだと思うので、選曲の候補に入れてみてはいかがでしょうか?
最後に
いかがでしたか?
今回は2018年の吹奏楽コンクール課題曲についてご紹介してきました。課題曲はコンクールで演奏するだけの曲ではなく、演奏会でも使える曲なので、ぜひ演奏会で演奏してみてはいかがでしょうか?
ぜひ参考にしてみてくださいね!
「昔の課題曲を演奏したいけど、すべての曲をひとつひとつ聞くのは面倒。」
「とりあえず曲の雰囲気や解説などを知りたい!」